Beyond the Horizon 3-D Matrix 中間決算説明会動画を見て No. 1

しばらく時間が経ってしまいましたが、2020年4月期第2四半期 決算説明会資料、及び社長の動画が公開されました。

 

もはや代名詞ともなっている寝癖がついた髪のままで社長が説明を始めましたが、その様子に少し違和感を覚えました。

 

岡田社長は説明をする際に、無意識にだとは思いますが、声に力をこめようとするタイプだと思います。「相手に理解して欲しい」という気持ちが声にこもり、悪いことでは全くないのですが、少しだけ気負いを感じるプレゼンテーションを行う方だというのが、私の個人的なイメージでした。

 

ところが今回の動画は、最初から社長の声には気負いはなく、逆に落ち着きを感じるものでした。同様に表情からも落ち着きと自信を感じ取れました。

 

1.2020年4月期第2四半期の業績

 

「大きく変わったのが売上である」というのは中間決算の数字からわかっていましたが、やはりここからアピールの開始となりました。つぎに、「販管費が事業の伸びに伴い『若干』増えている」との言葉がありましたが、この「若干」という言葉に「今後期待される飛躍的な売上の増加からすると、この程度の販管費の増加は許容範囲内だ」社長の思いが読み取れる気がしました。(あくまでも、私の個人的な想像です)

 

「ヨーロッパとオーストラリアの体制の強化は一通り目途がたった」

「来期はコスト増はできるだけ抑えたい」

「現在の体制で売上の増加をマキシマイズ(最大化)する」

「営業利益も来期は大きく改善する」

 

この言葉は、今期の販管費の増加の予告と同時に、来期の黒字化の追求の宣言だと取りました。

 

バランスシートの解説で、少し昨年までの負けず嫌いの岡田節が復活しました。(笑)

 

「去年と比べて「若干」現金が減少した。事業進捗にともなって10億ほど。」

 

いやいや、さすがに10億の減少は「若干」ではないでしょうと、思わず心の中でつっこんでしましましたが、社長の表情とその言葉からは、これぐらい大きな問題ではないとの思いが伝わってきました。詳しい状況を聞かせてくれるかと期待していたので、少し肩透かしを食ったのですが、増資も決まっていますし、これ以上大きなリスク要因とはならないと期待します。

 

 売上のブレークダウン(分析)に関しては、まずは「ヨーロッパの売上が『ぐんと』伸びた。これを拡大、または維持し、高い成長を達成したい」との宣言がでました。そしてオーストラリアについては、次のような社長の発言がありました。

 

「オーストラリアでは人員の増加がそのまま売上の伸びにつながっている」

「1人だった営業を4人に1増やしたところ、売上が3倍以上になった」

「現状で月次でほぼほぼ黒字を達成している」

「コスト増を売り上げ増がすぐにカバーする。このまま順調に伸ばしていきたい」

 

オーストラリアは代理店を通さない直販のため、利益率は2倍になります。また、オーストラリア支社に研究開発費は存在しないはずですから、純粋に製品原価と販管費ということになります。とはいえ、子会社単位で月次でとは言え、製品売上による黒字化の達成の事実は、ホルダーにとっても大きな希望となります。

 

2. 本年度これまでのハイライト

 

まずは「国内での止血材開発の進捗状況」についてですが、「再試験を実施、長らく開発に時間を使っていた」という言葉に、おもわずうなづいてしまいました。(笑)

 

次にアメリカの癒着防止材 PuraSinus に関する話の中にいくつか興味深い情報がありました。

 

「PuraSinus も扶桑薬品工業が製造している」(まあ、そりゃ事実上PuraStat と同じ製品ですから。ラベルと先端部に違いがあるぐらい?)

「製品の製造が無事完了。今、アメリカ向け製品はアメリカの倉庫に入っている」(ということは、日本からの輸出や保管倉庫の確保といった段階のロジスティクスは構築済みということですね。)

「学会プロモーション後、10月からアメリカの著名な病院にアクセスをとり、コンタクトを開始済み(つまり、売り込み開始)」

「現時点で PuraSinus を試してみたいという病院は『数十』に及ぶ」(数十?本当に?オーストラリアでは耳鼻科領域は現時点でも 2~30件のはず。最初からそれほど注目を浴びているということ?

「現在興味を持ってくれている病院としては、クリーブランドクリニック、セントエリザベスメディカルセンター、メイヨークリニック」

 

ここで、社長が挙げた3つの病院を簡単に紹介しますと、

クリーブランド・クリニック: 

オハイオ州クリーブランドにある、研究を主眼とする医療機関です。ただ、研究主眼とはいえ、11の関連病院を運営し、病床数は 1500という大規模な病院施設でもあります。様々な全米の病院ランキングで、常に上位に入る有名病院であり、昨年は US News and World Report 誌のランキングで全米2位に入っています。

 

セントエリザベス・メディカルセンター:

マサチューセッツ州のボストン近郊のブライトンにある、ニューイングランドでは2番目に大きな医療機関です。また、医学で有名なタフツ大学の関連病院であることでも知られています。ここは高度先進医療で知られており、研究機関としても有名です。

 

メイヨー・クリニック:

ミネソタ州ロチェスターにある、言わずと知れた全米最大の医療機関です。この病院に所属する医師の数は 4500人以上、スタッフの数は 58000人を超えるという、日本では想像ができないような規模の医療機関です。また、単に規模が大きいだけではなく、全米の研究機関と提携し、様々な先進医療の開発においても全米屈指ですし、研究費が年間で700億円を超えると聞けば、その研究の規模と水準が想像できると思います。

 

「そういう著名なクリニックさんからも手を挙げてもらっている」わけなら、上記の3つの医療機関の一つでも、正式に PuraSinus の使用を開始してもらえれば、その事実がプロモーションにおいて、何よりも強力な武器になるのは間違いありません。3つとも採用ということにでもなれば...... 。

 

「現在の状況は、全米に流通させるためのコールドチェーン(低温で製品を運送するための流通システム)を作っているところ。それが完成し次第、商品を病院に出荷する」

「年明けの早い段階で、製品を病院に届けることができるという予定」

 

おそらくは、その製品の大半はトライアル用に、無料で配布することになるのでしょうが、それは構いません。けちけちせずにどんと渡した方が、医療機関側も積極的に臨床使用してくれるでしょうし。それが正式購入につながれば良いのですから。

 

「まずは、著名病院で使用してもらい、良い評価をもらう。それを踏み台に来期以降販売額を大きく伸ばしていきたい」

 

製品のポテンシャルに疑いがあれば、まずはオーストラリアで売れていませんし、さらに、これほど有名な全米を代表するような医療機関がトライアルを希望することもあり得ません。この進捗は極めて順調なもので、今後に大いに期待が持てそうです。

 

さてあまりに長くなりそうなので、一度この辺で終了し、残りは後日ということにいたします。