"Before the break of dawn"   3-D Matrix 2020/4期 中間決算感想

待ちに待った 2020年 4月期 中間決算が発表されました。

 

期待していた数字はボトムで 2Q 四半期で、オーストラリア 100百万、ヨーロッパ 70百万、合計で 170百万というものでした。 

 

さて、結果は次の通りでした。

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 地域別の数字は、2Q四半期売上で、ヨーロッパ:  93百万円 (昨年同四半期 37百万円)  アジア・オセアニア(= オーストラリア):  78百万円 (昨年同四半期 27百万円)   全地域: 174百万円 となりました。

 1Q の数字からの変化は、ヨーロッパが 68百万→93百万(36%アップ)、オーストラリアが 72百万→78百万(8%アップ)となり、どちらも好感をもって迎えられた1Q の数字をさらに上回る結果となりました。

 

 先ずは、オーストラリアの結果についての感想ですが、前期の 1Q から 2Q への伸び率 (92%) と比較すれば物足りないように感じます。これに関しては、耳鼻科領域のターゲット医療機関の内、東部地域も含め、積極的購買層は一通りプロモーションが終了し、同領域における潜在顧客が一旦尽きてしまったという可能性が考えられます。

  だとしても、先行して PuraStat を使用している医療機関の評判がさらに高まれば、その他の耳鼻科の医師たちも、最終的は PuraStat を選ばざるを得なくなるでしょうし、一旦足踏みをしても、もう一段階の市場拡大は必ず期待できます。また、下期には、耳鼻科領域以外の領域における販売が本格化すると思われますし、通期での売上目標である 299百万円を上回って着地することは、ほぼ確実となったと思われます。

 

 ヨーロッパに関しては、個人的予想を上回るものになりましたが、この理由は明らかですね。 FujiFilm の販売が 10月に開始された事で、まとまった注文が入ったという事でしょう。

  前期 4Q から今期 1Q にかけて、ヨーロッパでの売上がほぼイーブンで推移したことから、2Q も大きな伸びは期待できないものと考えていました。なぜなら、 1Q 程ではないとは言え、バカンス要因もまだ影響しますし。また、現時点でのターゲットが大学病院中心だとすると、Nicolai や Aquilant と言えども、そう顧客網の中に対象が多くは無いでしょう。となれば、四半期毎に大きく伸びるのではなく、ある時に大きく伸びて、その後は暫く横ばいが続き、またある時に一気に伸びるという推移をたどると予想していました。

 

 ところが、予想より一月早く、FujiFilm の販売が開始されたことで、ヨーロッパでの売上が個人予想を 20百万以上上回りました。

 この 20百万強の PuraStat を FujiFilm がどの程度の期間で販売する予定なのかは想像するしかありませんが、仮に一月に 20百万がスタートで、この額を徐々に増やしていくとするなら、10月~ 4月の 7ヵ月で、最低でも 140百万を売り上げてくれる事になります。

 もちろん、140百万では今期の目標額には届きませんので、最終的にはこの2倍の数字である 280百万程度の売上を FujiFilm に期待する事になりますが、FujiFilm の顧客網は、大規模な医療機関から中規模の地方都市の中核病院に至るまで、多岐にわたるものであるはず。ならば、既に知名度が上がり始め、使用者の増加が見え始めた今なら、一気に売上を拡大させる事は十分に可能でしょう。

 

 確実性を考えれば、3Q の数字を見るべきなのでしょうが、私個人は、通期の売上目標の達成は、ほぼ間違いないものになったと考えています。

 

 さて、今回の決算が良いことばかりとは言えないでしょう。

  まず残念だったのは、PuraSinus の販売開始が 3Q 以降にずれ込んだことです。テスト販売の対象となる耳鼻科の医師が確保できていれば、少額でも 2Q に売上が立つことを期待していましたので、もしかすると今期は販売よりも、臨床試験の実施によるプロモーション用のデータの蓄積を優先するつもりなのかもしれません。

  次に、国内の止血材の治験に関して、心臓血管外科領域の治験開始に全く触れていなかった事に違和感を覚えました。おそらくプロトコルは既に作成しているのでしょうが、治験費用が不足しているために、開始を先送りしているのではないでしょうか。

  そして何より、現金が 10億を下回っているという財務状況です。第21回の MSSO が実行できない状況に追い込まれている以上、こうなっている事は理解できますが、ではどのように状況を改善することができるのかですね。

 

 一つは、ハイツキャピタルとの間で、MSSO の行使条件を、ある程度向こうに有利な条件で変更し、早期に実行に移すことです。ハイツにしても、いつまでも権利だけ持っていても仕方がないので、条件変更には応じる可能性は高いと思います。

 ハイツとの MSSO を解消し、新たな相手と MSSO を組むというのは、ハイツとの MSCB の存在を考えるとやや難しいのではないでしょうか。

  後は、どこかに第三者割当増資を行う事ですが......  現状で引き受けてもらえる可能性が最も高いのは、もちろん FujiFilm という事になるでしょう。しかし、この状況では極めて向こう有利な条件での提携となりそうです。個人的には、事業展開の選択肢を縛るような条件で増資を引き受けてもらうのは避けて欲しいのですが。

  完全子会社化はもちろん、連結子会社となるのも本音では賛成出来ません。とは言え、それに否と言えないギリギリの状況にあるのは確かなのですが。

 

 とにかく、四季報にいみじくも書かれたように、今はまさに『夜明け前』です。夜明け前が一番暗いとはよく言われる事ですが、ここを乗り切りさえすれば、後は黒字化はもちろん、医療機器メーカーとしての大きな発展が見えてきます。

 

 会社として、本当の意味での正念場ですね。ホルダーとしてできるのは、心から応援する事だけですね。